脳波検査

メンタルクリニックで脳波検査を行う意義

脳波検査を行う意義

メンタルな病気は、とても複雑で分かりにくい、という印象を持たれていると思います。分かりにくいことの理由の一つは、病気の「出どころ(原因)」がいろいろあるからです。図1は、その病気の出どころについてご説明しようと考えて作った図です。
図1の最も下に「身体」と書かれていて、そこから矢印が上向きに描かれています。この矢印は、「身体からの影響が、脳や精神に影響を与えることがある」ということを示しています。身体の病気なのに、その症状として精神症状を出す病気はいくつもあります。例えば、甲状腺の病気など、ホルモンの異常を呈する病気が有名です。

また、比較的粗大な脳の障害が関係する精神症状もあります。例えば、てんかんや脳腫瘍、認知症などがあります。

これらの、「身体の病気の症状としての、精神症状」や「粗大な脳の障害が関係している精神症状」を、通常のメンタルな病気として治療してしまったら大変です。良くならないばかりか、身体の病気や脳の病気が知らないうちに進行していって、取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。

メンタルクリニックで、脳波検査や血液検査が必要となる理由は、まずそこにあります。
一見メンタルな病気に見えても実はそうではない病気を見逃さないために、検査を行います。

脳波検査をする意義

先に述べた、「身体の病気の一症状として」あるいは「脳の粗大な障害と関連して」精神症状が出ている場合、しばしば脳波検査で異常がみつかります。一方、「脳の微細な障害と関連して起こる「うつ病」「躁うつ病」「統合失調症」などの病気では、脳波異常はみられません。ですから、脳波検査をすると、それらの鑑別ができるわけです。

 最近では、そういった鑑別をすべき病気の一つとして、「発達障害」も挙げられるようになってきました。一見うつ病のようで、実は根底に発達障害が潜んでいる、という方が実際少なからずいらっしゃいます。

発達障害の方には、脳波異常が見られやすいことが知られているので、脳波異常を手掛かりに、鑑別ができることがあります。そして、その正確な診断の下、新しい治療法に切り替えることによって、改善がみられることもよくあります。

脳波検査の実際

脳波検査の実際

脳波検査はベッドに横になった状態で検査します(図2)。
おもに頭皮上に電極コードをクリーム状のペーストでつけます。ペーストは検査後、拭き取りますので殆どわかりません(図3)。
検査自体は30分程度ですが、電極をつけたり、終わった後に拭き取る時間もあわせて、一時間を目安に検査をしています。

脳波検査は大脳の表面から発生する微小な電気を取り出すので検査なので、電気をかける検査ではありませんし、痛みもありません。
CTやMRIなどの画像の検査は、脳の形の異常を調べますが、脳波検査は脳の電気的な異常を調べます。
脳波はアルファ、ベータ、シータ、デルタといった波から構成されています(図4)。

脳波検査の実際

例えばアルファ波は「リラックスした時に出る波」と、言われていますが、正確には8~13Hzの周波数の波のことです。これは「安静、覚醒、閉眼」の三つの条件がそろった時に、おもに後頭部優位に持続してみられます。この波は目を開けた時に消失しますし、緊張していたり、眠かったりすると、見られなくなったり、持続が悪くなります。また眠っているときも、眠りの深さによって見られる波が違ってきます。
  脳波で、一番診断される病気は「てんかん」ですが、それだけでなく、波の形には多少、個性がありますので、どのような波形がでているか、左右差がないか、突発波がみられるか、などを見ていきます。

脳波検査の実際

明らかな左右差がみられる場合は、脳腫瘍や脳出血などの病気の可能性があります。また、突発波には、てんかんでみられる「てんかん性発作波」が含まれますが、それには、図5のような波形があります。
   検査中には、過呼吸賦活と光刺激をして、刺激によって脳波に変化があるかどうかも確認していきます。
検査時には異常波と鑑別するため、心電図もモニターしており、時には心電図の所見から、脳ではなく心臓に起因する病状が疑われることもあります。