皆様、お盆休みは、どう過ごされましたか?
私はまた愛犬とゆっくり過ごしました。前から、時間が取れたら勉強したいテーマがいくつもあったのですが、いつものように、しばしば愛犬に邪魔されてしまいました。
それにもめげず、前から気になっていたことも調べてみました。それは「MBTI」というものについてです。
私が若い時などは、よく飲み会で「〇〇先生は血液型は何?」とか「まったく、△△先生は、大雑把なO型なんだから……」などと冗談で言い合ったものです。
それと同じような場面で、今の若い人は、「自分はINFPです」とか、「あの人はESFJだね」などと話しているようです。
この、ちょっと意味不明な4文字のアルファベットは「MBTI」いう、アメリカで開発された性格診断法における「タイプ」の名称なのです。
ただ、やや異なる点もあり、私たちが若い時は冗談半分で「血液型性格判断」を口にしていたのですが、今の若い方は、MBTIを、科学的に根拠のある正確な性格診断法と認識しているようなのです。
そのため、自分の「タイプ」を絶対に正しい確実なものと考え、そればかりか、他の人のタイプを聞いては「自分とは相性が悪い」と断じたり、はたまた「私はこのタイプだから、この職業が向いている」と信じ込んでいたりするようです。
そこまで信じ込んでいる理由としては、現在ではインターネット上で、無料で簡単にMBTIによる性格診断ができるサイトがいくつもあることが挙げられます。
そこを開くと、たくさんの質問が並んでおり、それに答えていくことによって自分の性格診断が決まるので、利用した人は、「自分は科学的な検査によって性格診断をされたのだから、これは事実に違いない」と思い込んでしまうらしいのです。
このあたりの、信じ込まされる心理については、心理学者が、警鐘を鳴らしています。
小塩によれば、ネット上のそういった性格診断は、その質問項目も怪しいものであり、そもそもMBTIですらなく「MBTIもどき」にすぎないのだそうです。
そして、そういった「MBTIもどき」は実は以前から書籍としても存在し、
これらは、おそらく意図的にMBTIという言葉を載せていません。
一方、本格的にMBTIについて語っている本は、キチンとMBTIと表紙から明示しています。
実はMBTI自体は、長い歴史を持ち、それなりに有用性があるようです。
ただし、本来の目的は単なる性格診断や、職業適性検査といったものではなく、自己理解と自己成長を促すツールとして開発されたものなのだそうです。
さて、この本の表紙に「ユング心理学」と書かれているのにお気づきの方もいらっしゃると思います。
実はMBTIは、ユング心理学における「タイプ論」という重要な理論を援用したものです。そのため私のように少しユング心理学をかじった者にとっては、以前から耳にしていたツールであり、また同時に少し違和感を覚えてしまう理論体系でもあるのです。
ユング心理学における「タイプ論」の臨床上の重要点は、「心理学的タイプは、一生涯変わらない固定的な特性なのではなく、変わりうるものである」ということと、「なおかつ、むしろタイプの変化やそれに伴う自分自身の成長が、特にヒトの中年期における重要な課題だ」ということなのです。
ちよっと難しくなってきましたね…。長くなるので、続きは次回に述べますね。
ところで、「ユング心理学」というと、とかく難解とかオカルト的、という印象があると思います。ユング自身が、あまり平易な文章を書かなかったせいでもあります。
しかし、ユング心理学も臨床的な応用という観点でみると、意外なほどシンプルなのです。
もしユング心理学に関心を持たれて、勉強してみたい、という方がおられたら、いきなりユングの原著など読まずに、故河合隼雄先生の「ユング心理学入門」などを手に取られると良いと思います。
さすがに元は数学者だった河合先生だけあって、非常に明快に、クリアカットにユングの思想を書かれていて、理解しやすく、オススメです!