自粛制限は「臥褥」?

自粛制限は「臥褥」?

前回のブログではカエルの卵の話を書かせていただきましたが、いつのまにか、その卵も孵り、クリニックの水連鉢の中で元気にオタマジャクシが泳いでいます。
その間、長い、自粛生活が続いているわけで、皆さま、相当のストレスがたまっていることと思います。
私は、この自粛期間のことを、森田療法の「臥褥」に似ているなと思っていました。「臥褥」というのは、入院森田療法の最初の1週間、1人で部屋に閉じこもることを命じられる期間のことを言います。森田療法は、すごく乱暴な言い方をすると「神経質な人は、とにかく動いたほうが良くなりますよ」ということを体感していただく治療法です。この「臥褥」という期間は、患者さんに動くことを禁止して、エネルギーを貯めてもらい、それゆえ溜まったエネルギーを臥褥が終わったあとに発揮して、とにかく動いていただく、という目的のための布石なのです。人間というものは動くことを止められると、その制限が解かれた時に、動くこと自体の喜びに突き動かされるようにして動いてしまうものですからね。実際、当院に来られている方で、もともと神経質でやや不活発な方も、先日「さすがに、そろそろ動きたくなってきました」と仰っていました。この方と同じように、多くの方が、緊急事態宣言が解かれるやいなや、活発に動きまわりそうですね!
しかし、それも、今の状況ではいかがなものかと思われます。コロナがいなくなっているはずは絶対ないですからね。実は森田療法でも、臥褥が終わった方を、すぐさま、いろいろな活動に参加させることはありません。最初は軽作業期といって、動きの少ない作業からしていただきます。
同じように、今の私たちも、宣言解除の時期は、相当慎重にするほうが得策そうですよね。コロナによる感染の危険性もありますし、そもそも、自粛期間中に相当心身ともに鈍っていますからね、動きすぎると思わぬケガをしそうです。
結局私たちは、自粛期間中に身に着けた新しい、家を中心とする生活のあり方を、ゆっくりと続けていくのが良いのではないでしょうか?
当院にいらしている、特に女性の方は、「この自粛期間中に、他人に捉われない、自分なりの子育てができて、かえって幸福に感じた」と仰る方が複数いらっしゃいます。具体的に言えば、それまではどうしても周りの方に合わせて、おつきあいや習い事などで忙しかった生活が、この期間、ゆっくりとお子さんと、工作をしたり、近くの林に散歩に行ったりして、じっくりと向き合えたことが幸福だと仰るのです。お子さんからみても、たぶんそういう生活は幸福でしょうね。
我が家でも、子供たちはもちろん成人しているのですが、ふだん家にあまりいない子供達がずっといることが、家内はとても嬉しいようでした。

具体的には、家族との食事の時間を楽しもうとして、久しぶりにもんじゃをしたり、娘の発案で「タコパーティー(今は、たこ焼きパーティーでなくて、タコスパーティーのことを言うのだそうですね)をしたり。

私も、日曜日には、10年ぶりくらいにバーベキューをしました。バーベキューは実はすごくせまいスペースでできます。焼くものもなんでも良いですよね。スーパーで売っている焼き鳥でもいいし、これはお勧めなのですが、コンビニで売っている肉まんを「ホットサンドメーカー」という器具に入れて焼くと、とても美味しいです。
食事の最後には、マシュマロを炙って食べても美味しいですし。私は、すっかりお腹がいっぱいになり家族が家の中に引っ込んだあとに、一人で火のそばで、(意外に美味しいのですが)硬くなった大福を炙って食べたりしながら、ずっと外で本を読んでいました。

これも当院にいらしている方にお聞きしたのですが、散歩に本を持って行って、自販の缶コーヒーでも飲みながら外で本を読む、というのも、とても気持ちが良くてオススメとのことです。私たちは、この期間に知った、いろいろな楽しみ方を忘れずに、これからも、あまり外で遊びまわったりしないで、ゆったりとした生活を維持していくほうが良いかもしれないですね!