箱庭をセミナーでお話ししました②

箱庭をセミナーでお話ししました②

前回の続きです。発表当日は、当院の箱庭療法の特徴についてもお話ししました。当院では、通常の箱庭療法に、いくつか工夫を加えているからです。
まずは箱の大きさです。


我が国では、河合隼雄先生がスイスから箱庭療法を導入された箱の大きさが、なぜか「標準型」と言われて広く用いられています。
しかし、実はその大きさに何か理由があるわけではありません。例えばイギリスでは、それぞれの治療者が各々思い思いの大きさの箱を自作して使用しています。
そもそも、標準型のサイズ自体、ちよっと根拠が怪しいところがあります。実は河合先生が、そのまた先生のカルフさんの箱庭を測り間違えて日本に伝えて、そのため日本ではカルフさんの箱庭より少し大きい箱を使うことになってしまった、という説もあります。


というわけで、箱の大きは本来自由でも良いわけですし、当院では私が自作した一回り小さい箱を主に用い、時には標準形の4分の1の大きさの箱も使っています。

さらに、箱庭を制作者が作っている時に、通常は治療者がそばにいるのですが、当院では、カウンセリングルームでお一人で作っていただきます。


もっとも制作中に何かが起きてはたいへんなので、私は診察室のドアのガラスから、時々様子を伺ってはおります。もちろん今までトラブルが起きたことは一度もなく、制作された方からは一様に「一人でいれたので緊張しないで作れて良かった」とのお声をいただいております。

以上、当院での箱庭療法の特徴を述べてみましたが、こういったやり方は私が独りよがりにやっているわけではありません。これらの方法の意味や妥当性などについては、今年、箱庭療法学会の学会誌に、私の書かせていただいた論文が載るはずです。私としては単に、箱庭療法という優れた治療法を、なるべくハードルが低い形で皆様にお届けしたいだけなのです。

もっとも、当院では箱庭療法を専門とするカウンセラーもカウンセリングを行っておりますので、従来と同じ施行法での箱庭療法をご希望の方は、そちらを選んでいただくことも可能です。

箱庭にご興味のある方は、ぜひお気軽に院長にお声がけください。