夏休み2 .スケッチとマインドフルネス

夏休み2 .スケッチとマインドフルネス

前回の続きです。


私の夏休みの、貸別荘での過ごし方の写真です。ちなみに、写真に写っているスケッチは、私の通っているスケッチ教室の流儀で、見えている石は全て描き、なおかつ一つ一つの石の表情を写しとる、といった描き方をしています。

私は、そんなふうに描いていると、どこか不思議な気持ちになってきます。不思議と落ち着く
というか…。ふと思ったのですが、この精神状態は「マインドフルネス」に似ています。

マインドフルネスというのは、最近流行りの治療法、健康法でです。そもそもは、いわゆる「瞑想」を元にしているのですが、最近では脳の働きを基にして科学的な説明もなされています。

 

私はある企業でやらせていただいたセミナーで、藤井先生という方のご著書からそのまま引用させていただき、説明しました。


簡単に説明しますと、まずヒトの脳は極めて優れた機能を持っているので、たいていの仕事は自動的に、半ば無意識的にできてしまうようになります。この状態でいる時を藤井先生は、「自動運転モード」と呼びます。
しかし、この機能が実はくせものです。ヒトは日常のほとんどの時間をこの「自動運転モード」で生活しています。そうすると目の前の作業は無意識的にやれてしまうので、手が空いた「意識」が野放しになってしまい、今の目の前のこととは違うことを勝手に考え始めてしまいます。
考えることには歯止めがかからないので、不安なことがあると、どんどん不安も膨らんでしまいます。これが、ヒトの抱える不安の大きな要因の一つらしいのです。

それを断ち切る方法は、意外に簡単で「自動運転モード」をオフにすればいいのです。つまり、「今目の前のことに意識を集中する」、「意識を目の前のことで急がしくさせて、勝手に考えが暴走するのを阻止する」、それだけでいいのです。
マインドフルネスでは、これを「今、ここ、に没入する」などと言います。
 そのため、マインドフルネスでは、目を閉じて自分の呼吸に集中する、などの技法を用います。まさに、「今、ここで起きていることに集中する」体験なわけですね。

 でも、マインドフルネスの根本的なメカニズム、つまり、「自動運転モードをオフすれば良いのね」という理屈に立ち返れば、何でもいいから今、目の前のことに集中すればいいわけです。私の場合は、その集中する対象として、スケッチで石を描いていくということが一番マッチしている気がします。石は一つ一つ表情が違うので、それを写しとっていくのは、「自動運転モード」では描けません。
描いている時、私は「自動運転モード」が止まり、無駄な想念が心に浮かんでいないと感じます。その時の気持ちは、ハッピーというのとは違いますが、妙な不安などは浮かばないで、平穏です。そして、この状態は健康に良いのだろうな、と感じます。

とまあ、小難しいことを書きましたが、マインドフルネスは、現在、世界中でその効果が確かめられている治療法、健康法です。興味のある方は、藤井先生の本などを実際に手に取っていただくと良いと思います。
 それに、理屈はなしにしても、絵は描いている時も楽しいし、出来上がったものを眺めるのもまた楽しいものです。
東京に戻って額に入れると、こんな感じになりました。