神経症の方の休み方

長い休みこそ、忙しく動きましょう!

皆様、あけましておめでとうございます。正月休みはどのように過ごされましたか?

私は毎年、神経症(現代の診断分類では不安症+強迫症)の方には、「長い休みに何もしないでボーッとしているとかならず悪くなりますよ」とか「必ず毎日予定を入れてくださいね」などと申し上げているので、おそらく皆様あれやこれやと動いていただけたかと思います。

何度か書かせていただきましたが、うつ病と神経症では、対処方法が違います。

うつ病では脳のレベルで調子を崩していて、生きるエネルギーが低下しており、いわばガス欠のようになっておられます。ですから頑張れるはずはないし、安静にするのが一番良い対処法なわけですね。

一方、神経症は違います。脳が調子を崩しているわけではなく、生きるエネルギーが低下しているわけでもありません。
ただ生きるエネルギーが空回りしていて、そのせいで辛い症状が出ている、という状況です。ですので、正しい方向性であれば、がんばることは不可能ではないし、むしろ推奨されます。

一番いけないのは、神経症の方が「自分は病気なのだから安静にすべきだ」と勘違いして、何もしないでいることです。

そうすると、エネルギーが余計空回りして、頭の中で良からぬ不安が堂々巡りを始めて、どんどん不安が増してくるのです。
人間は動物であって、
動いているのが本来の姿なので、動き続けているとたいてい元気になっていきます。 
皆様も、何かで気持ちが悶々としていたり、クサクサとしている時に思い切って運動などすると、とても気持ちが良くなることはしばしば経験されていると思います。

さて私も、休み中あれこれと用事をこなしたのですが、さすがに今年の正月休みは長くて暇になりかけました。
しかし、私は「
もし暇ができたらやりたいことのリスト」を日頃から作っておりまして、こういう時にはそれを見返すことにしています。

そのリストのうち、ちょうど良かったのが、「愛用の椅子の修理」でした。

元々古道具屋で買い求めたもので、作られてから何十年と経っている椅子ですが、とても座り心地が良くて愛用していたのです。しかし、さすがに長年の使用には耐えきれずに、細い木材の部分が穴から抜け出してしまい元には戻らなくなってしまったのです



途方にくれましたが、そこは現代なので聞くところがネット上にあり、FacebookのDIYのグループで質問してみました。


すると早速、教えてくれる方が現れて、いつかその方法で直してやろうと思っていたのです。

正月休みの暇になりかけた時に、私はやうやく椅子に取り掛かるチャンスが到来したと考えてじっくり取り組んでみました。そして格闘の上、このような姿になりました!


こういった木で組まれた椅子は、キチンと組み直すと、それだけでかなりの強度を出すので、これからも長く、ドシドシと使えそうです。私は長年の相棒が戻ってきたような気になって、なんだかとても嬉しく感じました。

というわけで、結局わたしは長い休みを結構充実させることができました。前述のように、私は常々、「いつも何かをしているような忙しい生活」を皆様にお勧めしているのですが、時々「そう言われても何をしたらいいかわかりません」と言う方がいらっしゃいます

でも、私も何か大それたこととか、高尚な趣味のようなことをしていただきたいわけではないのです。この椅子の修理くらいで十分良いのではないでしょうか?
やっている間、私は楽しかったですし、結果も満足のいくものでし
た。

本当に何でも良いのです。目につくもの、気になること、そんなものにサッと手を出すと良いのです。

森田先生も「感じの悪いところ、そこに仕事は生じる」と言っています。森田療法では、この「感じ」ということをとても大切にしています。

例えば、「今やるべきこと」と頭で考えてもなかなかわかるものではないので、頭で考えずに周りを見回してみて、なんとなく感じが悪いなと感じたら(例えば、机の上や本棚が乱雑であるとか)、サッとそれに手を出して整えましょう。

私の場合は、壊れた椅子が感じが悪いと思っていながら時間がだいぶ経ってしまったので、あまり良い例ではないのですが、皆様も、暇でなんとなく気持ちがパッとしない時など、この「感じを大切にまずは動いてみる」という森田の教えを思い出されると良いと思います。
きっとだんだん元気になられますよ