細部にこだわらないこと

細部にこだわらないこと

皆さま、ゴールデンウィークはどう過ごされてますか?
私は、まだ外出は慎重にすべきと考えて、ずっと自宅で絵を描いていました。私は油絵を習っているのですが、その発表会が5月にあって、いま作品の仕上げの追い込みなのです


絵を描いている方はご存知だと思うのすが、一つの作品を描けば描くほど悪くなっていくことがしばしばありまして…。サラッと描いた絵のほうが物の本質を捉えていることがよくあります。
例えば皆さまご存知のマネは、有名な大作の他に、チャーミングな花の小品をよく描いています。


でもその絵って良く見ると、本当にサラッと描いているのですよね


でも、つい描き込みたくなるのが人情なんですよねー。絵の先生がそばにいれば、「そんな細部を気にして手を入れなくてもいいのに」と言ってくれるはずなのですが、それに自分では気づかないのです。

でも、ふと気づきましたが、それは普段私が神経症の方にアドバイスさせていただいていることと同じですねー。
神経症の方は、「そこにこだらわなくても良いのに」というところにこだわるところがあります。例えば不潔恐怖の方が、手の清潔にはこだわるのに、身体全体や、ひいては部屋などは清潔ではなかったり。私たちはよく、「神経質のなりどころが違いますね」などと指摘させていただいています。

 私のようなど素人が、絵を描くときに、しばしば下がってみて絵全体を見回さなければならないように、神経症の方も、一歩引いて、ご自分の生活全体を見回してみると良いかもしれません。そうすると、自分がこだわってしまうこと以外に、生活の中にやるべきことが多いことに気付き、そこに手をつけていくきっかけになるでしょう。そして、そこに手を出していくにつれて、(不安は消えないながらも)生活全体は、バランスの取れた、充実したものになっていくでしょう。

さらには私は自宅で絵を描いているうちに、時間に際限なく描けることにも問題があると気がつきました。家で制限なく描けると思うと、際限なく細部にこだわり、どんどんひどいものになっていきます。
これも、神経症の方が、時間に制限がないと、鍵の確認などに際限なく時間を費やしてしまうところに似ています。そういった方も、時間には限りがあることを認識すると(例えば、今から何分後の電車に乗らないといけない、などと思い出すと)、確認行為も自然と繰り返しが減るものです。

こういうふうに、ゴールデンウィーク中、絵を描いていて悩んでいると、良い対策法が浮かびました。「こんな時、先生ならなんとアドバイスしてくれるかな」と想像して、その(想像上の)先生と対話しながら描いていって、しばしばうまくいったのです。
皆様も、生活上、症状に関することで困ったことがあったら、たとえば、「こんな時、森田正馬先生なら、なんとアドバイスしてくれるかなあ」などと想像してみて、その(想像した)アドバイスに従って行動してみてはいかがでしょう。意外にうまくいくかもしれませんよ⁈