発達障害についてセミナーでお話しました|ブログ_飯田橋メンタルクリニック公式ページ|千代田区 飯田橋駅徒歩3分の心療内科 精神科

発達障害についてセミナーでお話しました

先日、校医として伺っている大学で学生さん向けに発達障害についてお話ししてきました。『健康講座』というセミナーが毎年あって、校医の間で持ち回りで学生さんにお話をするのです。


健康講座のセミナーポスター
健康講座セミナーの写真

始まる前は、けっこう緊張していたのですが、そこは森田療法の教えのとおり、「気分本位でなく目的本位」という心がけでいました


健康講座セミナーの風景

つまり「緊張はあって当たり前だし、緊張がありながら、自分が話すことの意義を思いだして、内容に集中していこう」という方針ですね。私の場合はお話することに意義があるなと実感が持てる時は、特にこの方針でうまくいきます。
今回は特に、学生さんにぜひお話したいというテーマがあったのです。


テーマというのは、「発達障害あるかもしれないという方が、社会に出る前に準備しておくべきこと」です。多くの臨床医が気づいていいるのですが、うつ病などが発症する方が、元々発達障害をもっていることは多いのです。発達障害からくる生きづらさが元々あり、それでストレスが溜まりすぎたり、発達障害のために仕事の遂行に他の人よりも余計にエネルギーが必要だったりすることが発症に関係していると思われます。


そういった方に関わるたびに、私どもは「もし、この方が学生時代に自分の特性に気づいて、その対処法を学んでいたら、うつ病にならなかったかもしれない」と感じます。ですので以前から、学生さんが、社会に出る前に自分の特性に気づくような働きかけができたら、病気に予防としても意義があると思っていたのです。それで、健康講座のお話をいただいた時に、これ幸いとお受けしました。


当日は、発達障害とは何かという説明から始めて、そのあとに「社会に出たら、こういうストレスがかかりますよ」という話もしました。

社会に出てからの難しさと課題

そして、学生時代に準備しておくこととして、まずはADHDに対してはこのスライドをお示ししました。

ADHDの人が身に着けるべき重要スキル

ADHDの方が社会人になってから困るのは、スケジュール管理の苦手さと、先送り傾向だと私は考えているからです。その打開策として、たとえば5分ルール(先送りしている問題に、とりあえず5分だけ手をつけること)など、いくつかお示ししました。
そしてASDの対応法としてお示ししたのはこのスライドです。


ASDの人が身に着けるべき重要スキル

ASDの方が社会に出てから困るのはコミュニケーションに関することだからですね。
でも、コミュニケーションの改善といっても、「社交性を向上させよう」とか「雑談がうまくなろう」とかを目指すのは、ちょっと方向性が違うと思うのです。
ASDの方が必要なのは、「自分が困っていることなどをきちんと周りに伝えることができて、なおかつ人からの情報をきちんと把握できること」だと思います。こういった基本的なことが意外に苦手なのです。


そういったことをお話しして、40分程度の時間があっという間にたってしまいました。うまくお話しできたかには自信はないのですが、うまく伝わっていたら、聞いてくれた方にはメリットのある話ができただろうな、とは考えています。


ところで、昨年も同じようなことを書いたのですが、なぜかこの季節は、私が緊張させられることが重なります。今年も、このセミナーと、自分の趣味の楽器の発表会がほぼ重なりまして…
セミナーのあとに、少しだけ時間ができたので、慌てて楽器を持ってカラオケに駆け込んで、練習の追い込みをしました。

サックス発表会の練習

なんとも慌ただしい生活なのですが、それでも、セミナーのあとでグッタリと何もしないで過ごすよりは不思議と疲れが溜まりません
やはり、私がよく皆様に申し上げているように、『いつも忙しくしていること、そして、なるべく違う種類の行動をあれこれとしてゆくこと』が健康には良いのだと思います。
皆様のご参考になれば幸いです!