適応障害の参考図書について

適応障害の参考図書について

適応障害の参考図書について

先日、毎年やらせていただいている、あるお役所の管理職向けの連続講義が終了しました。
長年やらせていただいているのですが、当初とくらべて管理職の方々の熱心さは年々増してきている印象があります。
それだけ、職場でのメンタルヘルスの現状は喫緊の課題となっているようです。

今年は発達障害と適応障害という2つの話題に絞ってお話ししましたが、いらした管理職の方も、「まさにそういう話を聞きたかった」とおっしゃってくださり、その2つの問題が、来院されている患者さんにとっても、受け入れ側の組織にとっても、焦点となっているようです。

適応障害に限ってもとても難しい問題です。
管理職の方も、少し前までのうつ病に対する対応方針、すなわち「頑張ってと言ってはいけない」とか、「休んでもらって薬を飲めば治る」という理解が通じない方々に対して、戸惑ってらっしゃるようです。

これまで、適応障害に関してはあまり成書もなく、勉強のしようもなかったのですが、チラホラと最近は出てきています。
題名で「適応障害」とうたっていなくても、「現代型うつ病」などと書かれていると、だいたい同じ病態を指しているようです。
これらの本は、当院受診中の方々やそのご家族の方が読まれても参考になると思いますので、ぜひお読みください。

参考までに、一部を抜粋、要約しますと、まず、貝谷先生の本では、
「適応障害になる人は、多くは20代から30代。少し注意を受けただけで避難されたと受け取り、それに耐えられない、うたれ弱い人たちです。こうしたタイプは、ストレスとなった環境を変えてもなかなか改善していきません。病気を誰かのせいにしたり、誰かに治してもらおうとせず、自分で治そうと強く思うことが大切です」と冒頭から述べられています。
また斉藤先生の本では、「療養中は一人でマイペースで過ごすのではなく、リワークなどに積極的に参加したほうが、はるかに良くなる」と述べられており、また吉野先生の本では、「従来のうつ病への対応の基本である『がんばれと言ってはいけない』という考え方とは逆に、新しいタイプのうつ病の方には、時に『がんばらせる」ことも必要」と書かれています。

なお、これらの本の概要を載せて、前から当院にあった「適応障害の推薦図書」というパンフレットを作成しなおしましたので、ご希望の方は、お気軽にお申し付けください